
相続放棄の撤回
相続放棄をしたのだけれども、財産の計算を再度してみたら実はプラスになる分があったのがわかったので、放棄を撤回したいと思っても、原則これは認められません。
もし、これを認めてしまうと、相続手続きそのものに対する信用を失墜し、他の相続人や債権者に迷惑をかけることになるからです。
しかし、例外的ではありますが、撤回が認められる場合もあります。
その例外について説明していきます。
「相続放棄」申請が受理される前に取り下げる場合
家庭裁判所に相続放棄申述書を提出した後でも、まだ相続人の意思の確認が行われておらず、当然受理もされていない早い段階であれば、その申し立てを取り下げることができます。
その際には、改めて相続放棄取消申述書を家庭裁判所に提出することになります。
なお、この提出書の書式については、相続放棄申述書と同じく裁判所のHPにその書式がありますのでそれを使うと良いでしょう。
(http://www.courts.go.jp/matsue/saiban/tetuzuki_katei/kasai_syosiki/kasai.html)
脅迫や騙されて相続放棄を行った場合や未成年者が無断で行った場合
脅迫を受けていたり、騙されて相続放棄を行った場合や未成年者が法定代理人の承諾を得ずに無断で相続放棄を行った場合は、例外的に相続放棄の取下げが認められます。
この場合も、同じく家庭裁判所に相続放棄取消申述書を提出します。
注意すべき点
脅迫や騙されて相続放棄を行った場合や未成年者が無断で行った場合のような例外的取下げの場合には、状況が追認できるようになった時点から(脅迫行為が終わってから、もしくはそれが騙されたものだと気づいてから)、6ヶ月経過してしまった時点で時効が成立します。
それに加えてこれらの行為によって行われた相続放棄から10年が経過してしまったら、相続放棄を取下げる権利、すなわち取消権は完全に消滅してしまいます。
また、未成年者が法定代理人の承諾を得ずに行った相続放棄についても同様のことが適用され、同じく権利は消滅してしまいます。
そのようになった場合では、法的には取消は効かなくなってしまうので注意が必要です。
まとめ
ここにあげた相続放棄撤回は、あくまでも「例外」の扱いです。
ですので、撤回出来ることを前提にして準備を進めることはしない方がよいと思います。
ちなみに、本来遺産がマイナスになるものと思っていたのに実はプラスだった、ということで「勘違い」を理由に撤回を申し出る人もいますが、ほとんどは受理されないようです(「例外」で受理されることもあるそうですが、ほぼないに等しい数だそうです)。
相続放棄を行う場合は、事前の調査を確実にしてから行うようにしましょう。
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