
相続放棄した方が良い場合、ダメな場合
はじめに
借金などのマイナス遺産が多い場合の救済策となる、相続放棄ですが、この方法をとるのがベストとは限りません。
その時の状況をよく見極めて利用しましょう。
相続放棄をした方が良い場合
言うまでもなく、借金などのマイナス遺産が多く、明らかにそれだけで残された財産が帳消しされてしまうような場合は相続放棄を考えた方が良いといえます。
ただ、いったん相続放棄をしてしまうと、取消が効かないため慎重に事を運ぶ必要があります。
すなわち、遺産の状況をよく精査して決断するということです。
民法920条では、そのための期間を3ヶ月間と定めています(熟慮期間といいます)。
この期間を過ぎてしまったり、途中で意思表示をしてしまったら、変更はきかないので注意しましょう。
相続放棄をしない方が良い場合
遺産状況を精査して、マイナス遺産が、残された財産を食いつぶすとは限らないような状況にある、もしくはやはりどうしても判らない、というような場合には二つの方法を検討します。
まず、プラスの遺産もマイナスの遺産も同時に相続する意思を示すこと(これを単純承認といいます)。
もしくは、残された財産の範囲内で借金などを返していくようにすること(これを限定承認といいます)
単純承認をした場合、もしマイナスの遺産がプラスの遺産を上回ってしまったら、その分についてはその相続人の私財などで返済しなければならなくなります。
民法941条において、債務者への返済は優先的に行わねばならないとあるからです。
限定承認の場合はこれと異なり、民法939条において、プラスの遺産をあるだけ返済したら、足りなくなっても私財投入などを行わなくてもよい、としています。
また、もし結果的に財産が残ったら、それは遺産として取得することができます。
限定承認の弱点
こう見ると、限定承認の方が良いように見えてしまいます。
しかし、限定承認にも弱点があります。
相続放棄に比べて手続きが煩雑なのと、もし相続人が複数いた場合、限定承認を相続人の総意としなければ認められないという点です。
その面倒さが祟ってか、相続放棄と限定承認の申請比率は15:1にもなるといいます(2006年司法統計による)。
ただ、相続人全体の総意が得られたり、少しでも遺産がほしい相続者には合理的な制度といえるかもしれません。
まとめ
熟慮期間は3ヶ月と定められていますが、どうしても調査が終わらない、という場合に限り、家庭裁判所のさらに3ヶ月の延長を求めることもできます。
どの方法をとるにしても、詳細な調査は絶対に必要になります。
ただ、どうしても不安だ、という場合には相続放棄の方向で進めた方がいいかもしれません。
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