生前贈与とは
「生前贈与」という言葉を耳にしたことありますか。相続なんてめったにあることではありませんので知らない方も多いかと思います。
今回は「生前贈与」についてわかりやすく説明します。
1.生前贈与とは
「生前贈与」とは、被相続人(死亡した人)が死亡する前(つまり生きているうち)に、自分の財産を人に分け与えてしまう行為です。
自分の財産を生前に贈与することによって、将来負担すべき相続税を少しでも抑えるために利用される相続税対策のひとつとして利用されている制度です。
2.「生前贈与」の利用の仕方
生前贈与を利用する場合には、自身の財産状況をしっかりと把握した上でうまく活用しなければ、かえって相続税が高くついてしまう恐れがあります。
なぜなら贈与税の税率が相続税よりも高く設定されているからです。
現実はよほどの資産家でもない限りは、被相続人が死亡したことによって納める相続税は発生しませんので。
少しでも相続における税金を減らしたいのであれば、被相続人が健康なうちに贈与税の年間基礎控除110万円の上限枠をうまく使いながら(例えば不規則の年毎に100万円だけ贈与するなど)長期的な対策を行っておくことによって、将来相続が発生した場合に有利に運ぶでしょう。
3.「生前贈与」の危険性
相続税対策として、年間基礎控除分(110万円)の生前贈与を数10年間続けたとしても、毎年、決まった額の贈与を繰り返していると、税務署から「初めから決めていた総額を分割して贈与する意思があった」とみなされ、贈与が行われたすべての額が一括して贈与税の対象になってしまう恐れがあります。基礎控除の範囲内であっても、毎年一定額を贈与する「定期贈与」は避けたほうが無難です。
4.他の対策
(1)「住宅資金贈与非課税制度」
住宅をこれから手に入れようとしている人が、父母や祖父母など直系尊属から住宅取得等のために資金の贈与を受けた場合で、その贈与を受けた年の翌年3月15日までにその資金を自分が居住する家の新築や取得、一定の増改築等のために使い、かつ自分で住み始めた場合には一定額が非課税となる制度があります。
ここでは概要のみで、細かい説明はしません。
ただしこの制度は期限付きで、今のところ2014年12月31日までの間となっています。
(2)「相続時精算課税制度」
贈与した際の課税を相続時まで繰り延べるという制度です。これを使えば2500万円までなら贈与時の税金が課税されません。ただし、贈与した人が亡くなった際に、先に贈与を受けた財産と相続の時に残っていた財産を合算して相続税額を計算することとなります。相続より早く財産を受け取るという意味ではこの制度も有効です。ただし、誰でもすぐに使える制度かというとそうではありません。ここでは概要のみで、細かい説明はしません。
5.まとめ
生前贈与には色々な制度がありますが、どの制度も利用するには将来の相続財産の価値を見越した慎重な対応が必要となるということを理解しておきましょう。
まずはここまでの基本をおさえましょう。
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